詩と共に、植物標本。
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あるひ
はるのかぜがふいたそのひ
あのはなのたねがおそらくとりのはらにあった
とりはきょうがなんのひかもしらず
またきにせず
ただいつものようにあのタワーのたかさまで
いちわ あそぶようにとんでいた
たねはいつかどこかのつちにたどりつくだろうか
どうかアスファルトではなく
できればかわのちかく
あのこといっしょに
とけかけたアイスをたべたあのばしょに
ながれぼしのようなひこうきぐも
とりはとおくにたねをはこんでいった
かどのとれたこおりが
くちにやさしい
とくべつなグラスはやわらかなむらさきいろ
ひとによっては それはくろだというかもしれない
あせかくひょうめんをゆびでさわる
せんめいにおぼえている
たびはいつもうつくしい
あつめたうつわをどうしようか
ぼくらのこらに いつかあげよう
せんねんたってももしかして
だれかのゆびがそれをなぞるか
グラスよどうか
なめらかにやさしく
そのひとのかわいたくちびるを
うるおして
ひとつのかんじょうにとらわれてしまった
そとのせかいはなにひとつ かわらないのに
ただわたしだけが ちがった
いかりもかなしみも あまりにおなかがすくよ
わらいには むだなちからは ひつようないの
しらないだれかが
わたしがそんなかんじょうに
しはいされていることもしらずに
はなしかけてくれた しんせつにしてくれた
わたしがもてあました そのかんじょうは
きげんをとりもどして
どこかさんぽにでかけていった
ようやくわたしはきづく
わたしがわたしのてづなをにぎらなくてはと
せかいをかえるひとつのほうほう
だれにもせわをかけずに
なににもしはいされずに
きげんのいいおとなになりたい
しずかなよるに へやのすみ ひかるもの
きみがおさないころ あつめていた
きれいなビーズ ターコイズブルーがすきとおる
そういえば パワーストーンがすきなともだちに
そのちからがほんものなら どうして
それがとれるくにであらそいがたえないのか
といってきげんをそこねたことがあった
いしはただきれい それだけをりゆうに
こどもはたいせつに かんにおさめる
そのじゅんすいさ あついおちゃにとかしたら
きっとあまい いいかおりがするだろう
それをのめば まんびょうにきき
たちまちおどる そしていしはいつのまにか
どこかへいってしまった
がっこうへいくとちゅう あのいえのへいのたかさ
いつからあんなにひくくなったのか
すこしのだんさ すこしのあなに
るーるをつくりながらあるいた 15ふんのみちのり
いまはもうきづかないようなちがい ちいさなせかい
しやをひろげたい なんておとなはいう
ほんとうにむずかしいことは
こまやかなきらめくものにピントをあわせること
こうせいのうなレンズみたいに
けんびきょうみたいに
ここにあるはなはきれい よくよくみてみたら
こんなかたちをしていたの うすくせんさいな
たいしょうてきにならんでいたり
たがいちがいにくまれていたり
せかいはこんなにおおくのしゅるいを
ほっしていたのか
わたしたちはこんなにおおくのなかまを
ほっしていたのか
はじめておとずれるほんや
おおきなとびら openのことばはないけれど
いまはえいぎょうちゅうのはずだと
おそるおそるはいれば
てんしゅはなにもいわないから
どうやらはいってダメだというわけではないらしい
つぎのよていまで30分 こんなひでなければ
はんにちでもかけてきみへのほんをえらぶのに
でもこんなひだからこそえらべたのかもしれない
ほんをあげるのがすきになったのはいつから
ほんをもらうのもたいへんにうれしいこと
とくにそれがきみからなら ことばのほんでも
えのほんでも とびきりうつくしい おんども
あなたにあいたくてほんをひらく
ほんのなか わたしたちはまたであい
かわし まじりあい バターのようにとけて
いつかきょうだいのようだといわれたけれど
ほんとうはふたり ひとりだったきさえする
ほんであいましょう またあした
だれかがだれかのことをいう
わたしはそれをしんじないようにする
わたしはわたしがみたもの かんじたものだけを
しんらいする そうしないと ふじゅんぶつが
わたしのからだにはいりこんで
じぶんがわからなくなるから
ああだこうだとたにんがいう
それはたったひとつのそくめん
わたしのたつばしょからは
ちがうめんがみえている
あれるなみ すいめんか じつはしずか
だれかがあなたをけなす
わたしはあなたがすきだ
わたしがあなたとけっこんしたりゆう
かわらず たいせつに ここにあります
ひみつというわけでもないけれど
やすうりもしたくないので
きかれるまではいいません
でもだれかにしつもんされたいような
そしてできればしずかなばしょで
ていねいにことばをえらんではなしたい
それはいつかかなえたいゆめでもあるから
わたしはとしおいることも しぬことさえ
こわくなくなった
それはつよいあいのはなしです
いつかかならずくるそのひのために
あなたはわたしよりながいきをしなくては
いけませんよ
こどもにもどったり しぜんのなかへ
そんなひがないと おとなだってくるしくなる
かたいじめんを かたいくつでふみつづけてたら
おもうようになるの はだしにくさのかんしょく
かぜ たいよう みずのおと
けんぜんなくうふくがおいしさのひけつ
なにかをむりやりどうにかするために
たべるんじゃない ねむるんじゃない
さあやわらかなあのとちへ
うちゅうのなかでは わたしたち
ただよう ただよう よりそってねむる
私は冷かな頭で新らしい事を口にするよりも、
熱した舌で平凡な説を述べる方が
生きていると信じています。
血の力で体が動くからです
(夏目漱石・こころ)
わかくやわらかい
としおいてかたい
ひらいたみずみずしいはなびらは
ひらいたままかれていくのに
わたしたちのおおくは
とじてなにものもうけいれなくなっていくようだ
わたしと わたしのともよ
どうか うるおいをうしないつつあっても
こえにみみをかたむけるじゅうなんさを
あたらしきをみとめようではないか
あめのひがつづきます
つめたいかぜで このはがおちます
せっかくのはなも あめのおもさで うつむきます
あめがおとをきゅうしゅうして
とてもしずかです
とおく えいせいテレビのじゅしんきに
とりがなかまと とまっています
タワーはひるまもチカチカとひかっています
あんなかんばんあったかなときづきました
あしたのよていをかくにんします
おっとはきょうはやすみをとりました
いつもおいしいこーひーをありがとう
うえのこはようちえんにいきました
きょうはカレーパーティだそうです
ふゆのおわりと はるのはじまり
くりかえしながらすすんでいます
このきせつにもうすぐ わかれがやってきますが
こどもたちはすぐににちじょうをとりもどして
わすれるのです
あめのひがつづきます
かんどのたかいアンテナは
むぼうびなこころをまもってはくれないけれど
チューニングならしんぱいはいらない
いっしゅんのことさ
はなれたきみの なみだがおちるおとさえ
はなれたあのこの だれかとだきあい
ふくがこすれるおとさえ
かなしいことがあっても きずついても
どうかぜつぼうしないで
うれしいこともあったでしょう
やさしいひともいたでしょう
それらのちからのほうがずっとつよいことを
しょうめいするために
じぶんで、したことは、そのように、
はっきり言わなければ、
かくめいも何も、おこなわれません。
じぶんで、そうしても、
他のおこないをしたく思って、
にんげんは、こうしなければならぬ、
などとおっしゃっているうちは、
にんげんの底からの革命が、
いつまでも、できないのです
(太宰治・ロマネスク)
かなしみはちからに、
欲りはいつくしみに、
いかりは智慧にみちびかるべし
(宮沢賢治・書簡)
みんながめいめい自分の神様が
ほんたうの神さまだといふだろう。
けれどもお互い
ほかの神さまを信ずる人たちのしたことでも
涙がこぼれるだろう。
それから僕たちの心が
いいとかわるいとか議論するだろう。
そして勝負がつかないだろう。
けれどもしおまへがほんたうの考と
うその考とを分けてしまえば
その実験の方法さえきまれば
もう信仰も科学と同じやうになる
(宮沢賢治・春と修羅)
世の中に実に美しいものが沢山あることを思うと
自分は死ねなかった。
だから君も死ぬには美しすぎるものが、
人生には多々あることを発見するようにしなさい。
(ヘッセ・デミアン)